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椎名さん似顔絵 下田常三画

  椎名真珠子(しいなますこ)さん
      



              「ほがらかな遊び人」
 


中国カシュガルの母娘

花も仏像もあるし、建築物もあり、子供の横でおしゃべりに興ずるお母さんやトルコの金物店の風景もある。「その時々に自分の好きなように何でも写真に撮り、流派などに固まらず、何でなくてはいけないとは言わない自由なタイプです」。
椎名さんの写真は、「花美術館」という美術誌に、2015年から9回ほど掲載されている。誌上での自身の掲載写真への批評に興味があるそうだ。

椎名さんが写真を始めたのは、1991年にロシア留学中だった一人息子さんを交通事故で亡くした後だった。「心の空白をうめるためでした」。ご主人の理解に支えられ、椎名さんは撮影旅行に出かけた。そして3年前にご主人に先立たれてからも、写真が撮りたくて、一人で日本各地や海外へもツアーで出かけた。中でもポルトガルが気に入っている。そうして、悲しいことも楽しく考えるようにして、一人暮らしを楽しんでいる。


中国 母ちゃんは遊ぶ!

椎名さんは1998年〜2012年に「写楽ショウナン」の田口蕃氏に師事し、その後美術団体「新構造社」の正会員となり、神奈川県鎌倉市展に入賞し、新構造神奈川支部展新人賞、奨励賞、神奈川支部長賞を受けた。2013年には東京都美術館で開かれた第85回新構造展会員賞を受賞した。今泉台では、町内会文化祭、NPOいずみサロン、6丁目カフェに出品し、大船の喫茶店でも「椎名真珠子写真展」を開いている。

椎名さんは、学生時代は経済学を専攻し、以来新聞は専ら日経を読む。読書は、文庫本なら一日で一冊じっくりと読み切る。小説、詩など純文学が好きでロシアものが面白く、自分でも同人誌に小説を書いていた。また、産業界の動きに興味があり、周囲を政治的というよりむしろ社会的に捉える。政治、経済の話を好み、今もボーイフレンドが多く、アルコールを楽しみながら話に花が咲く。「女だから飲むのを控える」という発想はない。「男も女もないですよ」。ご主人には「飲み屋の女将」が合っていると言われていたそうだ。

大学卒業後に会社に勤務し、結婚後も2年ほど仕事をした。しかし、椎名さんにとっての仕事はカラフルな人生の中の一つの色なのだそうだ。今泉台では、仲間と共に湘南市民生協(おうちコーポ)の家庭班を作ってこの地に広める活動をし、住民のニーズに応えた。また、社会的な活動が好きで、いくつものアルバイトの経験もある。自身の写真で絵葉書を作り、それに便りを書いたりもする。「気が多い」のだそうだ。時にはけんかをすることもあるが、理の通った話には賛成する。好きなことを徹底して追求し、意志を持って楽しく暮らす。「ほがらかな遊び人」であると自らを述べる。

兵庫県の出身で今泉台に住んで46年になる。写真にはデジタルも使うが、フィルムの方が味わいがあるので今でも好んで使う。現像や引き延ばしは20年以上ずっと逗子の写真店に頼むことに決めている。そんな義理人情に固い一面も持っている。椎名さんは、1歳4か月の時母親と死別した。どうも肉親との縁が薄いようだと振り返る。そして80歳の今、「80…7、8歳位までかしらね。そう思うと1年1年が大切になるの」と、少々早口でお話ししてくださった。        (2018年4月 文責:山田)
        
                                



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