今泉台歯科医院の外観。 患者さん用に3台の駐車スペースがある。 （この日は休診日）	今泉台4丁目（北鎌倉台バス停と商店街の間）にある今泉台歯科医院の開業は平成19年3月。 院長の木村智さんは神奈川歯科大学（横須賀市）を卒業後、歯科開業医に勤務して経験を積んだ後、今泉台での開業の道を選んだ。土地は、父親（東京で内科医開業）が今泉台住宅地造成の初期段階に取得したものである。出身が神奈川県内の歯科大学という縁もあった。
当歯科医院の診療科目は一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科とあるが、歯の矯正のニーズはあまりなく実際上は取り扱っていない。ただし、要望があれば必要なアドバイスを行い、専門の先生を紹介することもできる。また、いわゆるインプラント治療も行っていない。地域住民の日常的な歯の問題に健康保険の適用範囲内で対応する「町医者」の性格が強い。

スッキリした感じの受付カウンター 内部。全体的に木目基調の柔らかな 雰囲気。	受付カウンターに飾られた風景画 （患者さんからの贈り物）	玄関を入って受付カウンターを見るとレンガ造りの欧州建築を描いた風景画が飾られており、なんとなく気が和む。そういえば、この医院の建物もレンガ造りのイメージである。
診療室も、木目を基調とし、暖色系のインテリアで統一されており圧迫感が全くない。 緑色主体の看板もバス通りからはあまり目立たない位置に掲げており、住宅地の景観との調和に気を配っている。
受付カウンターの木村院長	木村院長が今泉台で開業して最初に驚いたことは、かなり病状が悪化した患者さんが多かったことである。高齢になるに従って歯の治療は難しくなる。 例えば、歯を削るときに水で削り屑を洗い流しながら作業を行うが、その最中に口の中に残留している水をごくごく飲み干すケースがある。これはこれで別の問題が発生する。年を取ったら取った分だけ、自分で歯磨きを励行することの大切さが増していくという。 「洗面所に行くことを面倒臭がらずに歯を磨いてください」が木村院長からのメッセージである。

歯の治療は、歯を一本抜くか抜かないかでも、医者の判断と患者さんの要望にズレが生じる場合がある。木村院長は患者さんに対して丁寧に自分の所見、治療方針を説明し、患者さんの理解を求める。複数の選択肢がある場合には、そのメリットとリスクを患者さんに詳しく説明する。双方が納得して次のステップに進むというのが基本方針だという。

患者さんによく言われるのが「近いから」という言葉である。診療時間が多少長引いても「家が近いから別に問題はない」といった塩梅である。大船にバスで行ってバスで帰ってくれば半日仕事になる。お年寄りにとっては、バスの利用そのものも難行である。「近いから」には一種の安心感が含まれているのかもしれない。

今泉台歯科医院は、インターネットのホームページを公開していない。人目を引く宣伝広告よりも、地道な口コミを重視している。患者さんが自分の家族・親戚に紹介・推奨し、さらに友人・知人に広がっていく。「紹介してもらって来て、やっぱりよかった」の気持ちを感じることができれば、「それは歯医者冥利につきる」というのが“町医者・ファミリードクター”を目指す木村院長の結びの言葉である。

なお、診療は予約制であるが、緊急の場合には予約なしの外来も受け付けている。その場合でも、予約済の患者さんの時間調整を図る必要があるので、できるだけ早く電話で連絡して欲しいとのことでした。

＜取材を終えて＞
院長は謙虚で飾らないお人柄で、一つ一つの質問に誠実にお答えしていただきました。きっと患者さんに対しても誠実さをもって診療されているのだろうと推察しました。建物のたたずまいや看板の立て方をみても、この町に溶け込もうとする思いが伝わってくるようでした。

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